フィルムカメラがやめられない理由
もはや、トイカメラブームは過ぎ去った!
思えば僕が初めてトイカメラを始めたのは2009年のこと、このときはまだトイカメラブームの篝火のようなものがあって(あるいは全盛期だったのかもしれない)街中でもHolgaを首から下げた人がいないでもなかった。
僕がそのときに使っていたのは"black bird, fly"という二眼トイカメラで、二眼トイカメラでありながら普通の35mmフィルムが使えたことで僕は夢中になって使っていた。
(出展:@ghostfacexxxx 士(ディケイド)はトイカメラをぶら下げてるんだよなぁ |AVESHIの投稿画像)
それから仮面ライダーディケイドの主役がこの二眼カメラを使っていたことで電車とかで子供に「アッ仮面ライダーだ!」って指さされたりなんかして。
それからinstagramが大流行して、付随してついっぷるみたいなサービスが整備されていったことでカメラの存在意義自体が縮小していったと思うんだけど、instagramみたいなスマホの写真アプリに"トイカメラ風"が実装されて、それもそれでスタンダードになっちゃったもんだからトイカメラの存在意義なんてほんとになくなっちゃったんだ。
スキャンしないとネットで共有できないし、それ以前にフィルム買うのもお金かかるし面倒だしね。うまく撮れたかもわからないし、明らかに現代人の体質に合わなかったんだと思う。とにかくフィルムカメラって絶滅寸前なんだよね。
そんな中でも!
今はLOMO のLUBITEL166+を愛用している。
こないだプリントした写真がよかったのであげます。
羽田空港にて。写真が四角いのは6x6というカメラの規格です。
同じく成田空港にて。
この写真が焼きあがって、僕は「フィルムカメラをやってて良かった」と思った。僕はデジタルもやるけれど、少なくとも僕はこの色合いをデジタルカメラでは出せない。
フィルムカメラ(トイカメラという意味を大いに含む)の利点について、"現像しないと写真が見れないからこそ、焼きあがるまでの楽しみがある"とか、"撮れるフィルム枚数に上限があるからこそ大切に撮ろうと思う"とかいう理由を聞くけれどこういう考え方は僕はあまり納得がいかない。
写真は撮ったその場で確認できた方がいいに決まっているし、36枚撮れるよりも2000枚撮れた方が良いに決まってるじゃん、なんて思ってしまう。
そう考えたときに「じゃあどうして僕はフィルムカメラなんてやってるんだろう」と考えて、うまく結論が出せずにいたのだけれど、今回この写真が焼きあがってきて、シンプルに「これはデジタルじゃあ無理だわ」と思った。
精細な画質やカリカリに合ったピント、極端な玉ボケ(F0.8とか)って確かにその現実を忠実に再現してはいるけれど、実際の記憶としての肖像って、もう少し輪郭が優しくて、色もどこかへ寄っていて、角が陰っているような曖昧なものなんじゃないかと思う。そういうイメージを曖昧なままに絵として抽出しようとしたときに、僕としてはやはり最適な手段はフィルムカメラだという結論に達するのだ。
もっとフラットに言うと「たまたまうまく撮れたからフィルムカメラやっぱり好きだなって思った」ということです。