人前で発表すること
美術大学だとやはりコンスタントに作品を制作するわけで、作品を制作したら「講評」というのが待っているのである。作品を部屋に並べて講師に作品を批評してもらう。
あるいはただ受動的に批評を受けるのではなく、「この作品はどんな物なのか。どういう発想で生まれ、どんな役に立ち、今後どんな展開が期待されるのか」についてプレゼンすることも多い。というか僕の場合はファイン系(油画科や彫刻科)ではなくデザイン科(グラフィックや工業デザイン)なので、後者のプレゼンをする機会が圧倒的に多いのである。
そうすると一つのチャンス(あるいは落とし穴)が発生する。それは、プレゼンの上手さが作品の魅力に影響してくるということである。
これは口上手にとっては「うまくいかなかった作品でもあたかも"良いカンジ"に見せる」チャンスであり、口下手にとっては「せっかく頑張ってつくったのに評価されなくなる危険性」になりえるのである。これは不公平なカンジがするけれど、僕たちが目指しているのはデザイナーであって職人ではない。職人であれば黙々と良いものをつくることに徹すれば良いのだけれど、デザイナーは自分がどれだけ優れているかをきちんと上司なりクライアントなりに伝えられなければ生き残れないのである。
- 作者: カーマイン・ガロ,外村仁解説,井口耕二
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2010/07/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 126人 クリック: 3,690回
- この商品を含むブログ (297件) を見る
そうなってくるとプレゼンの技術というのは作品の善し悪しと並行して磨いていく必要がある。誰に習ったわけでもなく僕は自分の毎回のプレゼンを録画し、何度もそれを見直して反省して次に生かした。keynoteやPreziのようなプレゼンテーションアプリもいくつも試して、効果的なプレゼンとは何かについてよく考えた4年間だった。
僕だって人前で発表するのは得意じゃない。ただ他の学生よりプレゼンの重要性を意識していて前々から準備していたということだ。原稿を用意して、空でぶつぶつ喋る。ひたすら暗記して、同時にパワポをブラッシュアップする、みたいな動きだ。
今日は卒業制作展最終日ということで、学生だけでなく一般人のギャラリーや、大切な友人、あるいは部活の後輩達の前でプレゼンして、今までで一番緊張したし、今までで一番色々なことを考えてプレゼンしたと思う。
とにかく緊張で直前まで頭が真っ白だったし、今録画を見返しても早口で動きが安定していないし、もう、もうちょっと流暢に喋れや!と文句は尽きないけれど、とにかくひとまずこれで僕の大学でのプレゼンはおしまい。
これからはデザイナーとしてプレゼンする機会もあると思うけれど、もう以前ほどは緊張しないと思う。今日も頑張りました!まる。