絵本・おじさんのかさ
このシーズンがやってきた。
たくさん雨が降って、誰もが傘をさす。
傘は片手が塞がってしまうし、満員電車だと人の濡れた傘が身体に当たったり、傘の先端からぽたぽた垂れる雫が靴にあたったりする。最悪だ。
傘は最悪―—そういう憂鬱な気分になったときに思い出す絵本がある。
「おじさんのかさ」佐野 洋子
このおじさんはお気に入りの黒いかさを持ってるんだけど、お気に入りだから使わないんだ。雨が降っていて、傘をもっていて、それを使わない。マジすげーロックだ。
どうしても雨が降り止まないときは他人の傘にいれてもらう。傘持ってんのにさ。もうあれだ。パンクだな。
結果的におじさんは傘を開く決意をして、大切なお気に入りの傘で雨の中を歩く。雨粒が傘にぽつぽつと当たって、おじさんはその音を楽しむ。おじさんはご機嫌だ。
僕は雨は嫌いではないが、傘が嫌いだ。
でも、いつかこのおじさんのようにお気に入りの傘を手に入れることが出来たら、少しは傘をさすのが楽しめるかもしれない。
おしまい