まとめサイトは見ないと決めた
以前から"電車でスマートフォンをいじっている人たちって何をしているんだろう"という疑問を持っていたのだけれど、どうやらNAVERまとめのようなまとめサイトを見ているらしい。
確かに面白そうな記事がよく整理されていて、漫画みたいに画像を交えて紹介しているからついつい夢中になってしまうし、最後まで読み終わると「こんな記事もどう?」という具合で似たような面白い記事を提供してくれる。
僕も最近までこういうまとめ系のサイトをよく見ていた。最新の面白いデザインや考え、海外のすごい技術やニュース等を手早く見ることが出来るし、話のネタにもなる。物知りになった気になれるからさらに夢中になって見るようになる。
吉祥寺のすごくオシャレなアイスも、ハロウィンとコラボした可愛いディズニーチョコも、「マッサン」の影響でウイスキーがバカ売れしていることも、みんなまとめサイトで仕入れたことだ。
僕の好きな著名人の一人、佐藤雅彦といえばあのピタゴラスイッチやポリンキーのCMソング、だんご三兄弟をつくったメディアクリエイターである。
彼の著書「考えの整頓」の中にこういう文章がある。
「考えの整頓」で書いていたけれど、現代人は加工された情報ばかり与えられて頭を太らせているばかりだ。もっと自分の目で手で耳でリアルに体験して、それを自分で咀嚼して吸収していかなくては駄目だと思う。
これをふと思い出してハッとなった。僕たちがまとめサイトで加工された情報を享受している風景は、スーパーでパッケージされた内臓も血もついていない、一口サイズにカットされたステーキを口に運んでいるのに良く似ている。
僕たちはどんどんパッケージされた、加工された綺麗な情報しか食べられなくなって、顎は弱り、歯は抜け落ちて、泥と血のついた野生の本物の肉を食べられなくなっているのではないか。いわゆる情報の草食化だ。
加工されるものしか食べられなくなった僕たちはいよいよメディアやマスコミの言った通りにしか物を知ろうとしなくなり、自分で考える力を失っていく。そして金を搾取されていくのだ。
世界三大珍味のひとつフォアグラは動物倫理観点から見て非難されるべき食品のひとつだ。僕は生まれてからフォアグラを食べたことがないし、死ぬまで食べることはないだろう。EUでも生産を中止・禁止する動きもある。
フォアグラはその名の通り、ダチョウやアヒルを無理矢理太らせるいわゆる「強制給餌」を伴うことで脂肪を肥大して生産する。場合によってはくちばしを切り取るところもあるが、いずれにせよ餌がえんえんと出てくるノズルを喉に差し込んで合理的に家畜を生産するのだ。
まとめサイトを楽しんでいる人がそうだというつもりは毛頭ないけれど、あんまり夢中になって歩行中もスマホをいじっているのを見て僕がダチョウを思い出すのも事実だ。
それが嫌な人は、本を読むだけでもなく(本はマシだけど、あくまで加工食品だ)周りで起きていることを自分の頭で考え、理解するように努力しなくちゃいけないんだと思う。それは面倒臭くて、嫌になることが多いけれど。
世の中の大抵のことは「超面白い」とか「完全に正しい」とかいうことはなくて、白黒が一体となって、善悪が混ざりあってもっともっと混沌としているものなのではないか?
もっと情報に対して疑う心を持った方が良い。フォアグラのガチョウように餌を丸呑みさせられるだけの家畜になる前に。