なぜ犬を食べちゃいけないのか
いけなかないけどね。
日本では「みだりに動物を殺しちゃいかん」という法律はあっても「犬猫を食うな」という法律はない。食用として犬を殺して食べるのであれば問題ない。
でもなんかかわいそうじゃねえ?って思うんだけど、じゃあ豚は可哀想じゃないのか、家畜ならいいのか、人間はクジラを食べるじゃないか!と言われるとウウムと押し黙るほかない。だから「犬食は残酷だ!野蛮だ!」とは思わない。僕は食べないけどね。生理的に食べる気になれないから。それでいいじゃんって思うけど。
だいたい食べる為なら殺していいのかって話もあるし、食べる為の動物であればシステマチックに工場の歯車みたいに狭いところで無理やりぶくぶくに太らせて繁殖させて集荷するみたいなのは倫理的にどーなのよっていう話でもある。このあたりは本を2、3冊読んだんじゃ到底答えが出ない領域だということを僕は知っている。
動物は人間が生きる最小限を殺すべきであって、そこに娯楽だったりとか人間のエゴだったりっていうのはなるべく抑えるのがマナーなんじゃないのっていうのが僕の持論なんだけど、ちょっと考えが浅すぎるだろうか。
ハラールミートという言葉がある。アラビア語で直訳すると「合法の食べ物」という意味だ。合法っていうのはもちろんイスラム経典のこと。豚を食べちゃいかんっていうのはあまりにも有名だけど、それ以外にも牙を持つ動物は食べちゃだめとか、電気ショックで死なせた動物はなるべく食べちゃだめとか(そのための電圧の規定もある)細かく決まっているらしい。
そもそもムスリム(イスラム教信者)はムスリムが殺した動物しか食べちゃいかんのだけれど、この食用動物の殺し方にも規定があって、そこに祈りがあるわけだ。「アッラーの名において」みたいなことを唱えて、鋭利なナイフでなるべく苦しまないように殺すと。
これをなされたものしか食べないんだからムスリムってのは大したものだと思う。
インドネシアの聖地メッカに入るためのワクチンに豚由来の成分が入ってて大問題になったりしたけど、それだけ厄介な道を選んで信仰を曲げないんだから尊敬に値すると思う。
そこまでは難しくても、「殺したのだから、せめて役に立てる。全部食べる。」くらいの気持ちを持つことくらいなら僕にもできそうだな。