キャプションは作品に含まれますか?
多摩美テキスタイルの修了制作展にお邪魔してきました!
院生の方々の集大成としての作品を見に来たのは当然として、再来月に展示を控える僕としては、どういう見せ方で展示をしているのかというところがとても気になった。
それは展示会場内のレイアウトだとか、スポットライトの位置とか、流れている音楽とかそういう問題では全くなく、僕が気にしていたのは「作品をどこまでの範囲で展示するのか」という問題である。
例えば帽子の作品があったとする。
帽子は作品だけど、その帽子のタイトルも作品の一部だ。
だからその帽子のそばにあるキャプションも作品ということになる。
それではその帽子のコンセプト、制作意図、素材に関する説明は作品に含まれるのか?
含まれないにしても来場者はそれを見たいのか、どうか。
僕は美大を出ていることもあって、「どうつくられたか」「どういう経緯でつくったのか」「どんな苦労があったのか」まで深く知りたいタイプ。でも一般人が展示に訪れた場合、作品と来場者の密な対話を優先させて、「こういう特殊な技法を用いて加工することによってうんたら....」みたいな情報はカットしたほうがいいのかもしれない。
純粋に展示を見てもらえないというか。
寿司だって「うん、マグロうまい!」って純粋に食べたいのであって、そのマグロがどこをどう泳いで誰に捕獲されていくらで売られてどこの市場からこの店にたどり着いて捌かれたのかなんてそんなに知りたくないじゃないですか。いや、食事中の話よ?
だから自分が展示をする場合にどこまで公開するのかなーというところで悩んでいた。
ことに僕の作品は全て写真作品なので、ある程度の説明や意図がわかるものがないとどうにもわからない・わかってもらえない・あるいはわかってもらえたとしても齟齬があったり曲解されるおそれがある。そういうのは避けたいのですな。同時にやりすぎることで来場者の鑑賞にノイズをきたしたくないというか...。
あるいは僕が常に作品のそばにいて、ペッパーくんよろしく常に説明してあげるっていうのでもいいと思うんだけど.....。
作品づくりだけじゃなくて展示されたときの状況を想定して考えるのも難しいものですな。詰めるべきところはまだまだたくさんありそう。