読書中に本に直接書き込むようにしたらすごく良かった話
突然だけど
本とは、インクの染みがついたノートに過ぎない
という思想を持つことにした。
我ながらちょっとヤバい考えのような気がする。なんというか、本って汚しちゃいけないという先入観がすごくて、学生時代に学校の教科書に落書きしていたのも背徳感やスリルと共にやっていた記憶が強い。
じゃあなんで本に書き込みしちゃいけないのかっていうとチョット考えて「売れなくなるから?」と答えるんだけど、いや、古本なんて売っても50円ぽっちにしかならないし、売るくらいなら買わなきゃ良かったよね。買わなければ1000円なり1500円なり払わずに済んだんだから。
それで今まで僕はどんな本でも書き込みなんてせず(根拠なくいうけど日本人の9割は本に加筆なんかしないと思う。)せいぜいやるとしても折り目を付けたりする程度で本をきれいに保って本を読んでいたわけです。ところが。
なんか勉強の本を読んでも身についた感じがしないというか、「読んだら後は綺麗さっぱり」でこれって読んだ満足感だけが残って何も向上していないのでは?という不安がずっとあって。
そんな中出会った斎藤孝の「読書の全技術」という本の中で「本は文章入りのノートだと思って三色ボールペンでどんどん加筆しろ!」とあったのでそれを実践してみたら思いのほか役に立ったので続けている次第だ。
今回はその紹介をします。
ちょっとした感想やツッコミでも書く
読みながらちょっとでも頭に浮かんだ言葉があればそれをそのまま書くようにしている。「たしかに!」しか書かない時もあるし「全然そうは思わない。根拠は?」とだけ書くときもある。
要するに積極的にメッセージを書いて「本と対話している」状況をつくることで読書に集中している感じなのだ。
文中にある言葉のなかで、自分の記憶で心当たりのあるものに出会えば「これは僕の場合○○のときにこういうことがあって、同じ境遇だと思う。」とメモしておけば、メモという行為そのものが文章への理解を助長してくれる。
こういうメモが意外と後で役に立ったりするし、2度目3度目と読み返しているときにさらに加筆していって過去の自分の文章にツッコミをいれたりすることもある。
学生時代に机にあった落書きに返事をして会話のやりとりになるあの感覚だ。
「なるほどねー」と思ったら速攻ひく
迷わずひく。
だから僕は勉強としての読書(小説のような娯楽としての読書以外を指す)のときは常に三色ボールペンとかラインマーカーを構えている。
それはさながら部屋のどこかにいるはずの羽虫を探しているような具合だ。
何か役に立つことは書いてないかー。
次はどこに線をひいてやろうかー。
そう考えながら本を読むのはかなり新しい感覚だ。
僕の場合、今まではぼやっと本を眺めていることが多くて、ハッとすると結構ページ数が進んでるんだけど「はいこの3ページどんなことが書いてあったでしょう?!」と聞かれたら「えーっとえーっと...読んでなかった...」と答えてしまう位のことがよくあった。
線をひくことにも意味はあるんだけど、まずは「どこに線をひくか考える」という作業を加えることで、自分をより読書に参加させている効果がある。
ルールなんてしゃらくせえからとにかく書き込みまくる
斎藤孝は「三色ボールペンの色を使い分けましょう。赤はこうで青はこう。緑は線じゃなくて囲むようにします。それはこうこうこういう理由で...」
むりです!断定。
自分O型だし。
だいたい「おっ」と思うような文章に出会って「えーっとこれは文章としては重要ではないが後から見て残しておきたい文章だから青で線をひこう。さてボールペンの青を出して、と...」とかやるのか?すげえ時間もったいない。
僕はとにかく何でもいいから線をひいて文章を書いていくことにしている。だから後から見返してみるとごちゃっとしてるんだけど、別に整然と字が揃った芸術作品をつくろうとしているわけではないので、「自分が勉強になれば」いいと思う。僕にとっては現状これが最善です。
最近はちょっと加筆もこなれてきたので「最重要は赤、ちょっと重要は青」くらいの差別化をする余裕が出てきた。見ればわかると思うけど線はガンガンひく。単語にだけ引くことはなるべくせずに、前後の文脈も含めてガーッとひいちゃう。
そうすると二周目に読むときに「このあたり読めばいいんだな」ってわかるから。
読み終わったときに自分だけのノートが完成する
ただ漫然と読むだけじゃだめだ!ちゃんと勉強なんだから後に残さないと!と思って読書ノートを用意して、しっかり書いていた時期が僕にもありました....一瞬でやめたけど。
それで本に直接書き込みをするようになって、色々書き込みながら読書が終わった時、気づけば自分専用の「読書ノート」が完成していた。
URESHI—嬉しい―
完成した本を読み返してみる。これはよほどクソつまらん本でない限り必ずやる。二周目というやつだ。これをやるとやらないとでは全然違うと思う。ドイツの学者ヘルマンエビングハウスが提唱した通り僕たちは覚えたことを20分後には4割を忘れ、1日後には70%を忘れるのだ。これを防ぐためには繰り返し学習するしかない。
逆に二度読むと定着がヤバい。やってみればわかると思う。というか、加筆して自分ノートにしたらもう一度読みたくなる。それはいわば、もはや、著者と自分とで作り上げた共同著書なんじゃないか?!って気分なんだ。そして結構、その通りだと思う。
本文に対して自分が思ったこと、思いついたことが要所要所に書いてあって、「面白い!」とか「ここ重要!」という文章だけでも十分復習の手助けになってくれる。
また、加筆が多いところが共感したところで、加筆がないまっさらなところは「つまらん」かったところだ。だから二度目以降読み返すときは加筆で賑やかなところに絞って読み直して、まっさらなところは飛ばしてしまって構わない。
二度目に読み返すときはさらに思いついたことを書き込んだり、あとは「これはp112のところと合わせて読むと面白い」とか「○○著の○○にも同じ記述あり 要参考」みたいなリンクを書き込んだりして充実した「ノート」の完成を目指す。
さらに必要な部分は抜粋して手帳に移したりするけど、ひとまずは二周目読んだら大切なところは頭に入っているので目標は達成したことになる。僕はこれで読書を3倍くらい深くできるようになった気がしている。気がしているだけかもしれないけど。
今回はこの文章を書くにあたり斎藤孝の「読書の全技術」を本棚から出して読み返したんだけどあらかじめ線やら文やら書きまくったおかげで「あの記述どこにあったんだっけ。えーっと、あーここだわ」くらいのスムーズさで欲しい記述にアクセスすることができた。加筆は偉大なり。
ちなみに写真でも散々晒したけど今読んでるのはリンダ・グラットンの「WORK SHIFT」で、よくある"来るべきイノベーション"の予測とか対処の本なんだけど無茶苦茶面白くてハマった。ここ100冊くらいで一番刺さった。って周りに漏らしたけどたぶん誰も読んでくれないからここで叫ぶ。
ワーク・シフト ─孤独と貧困から自由になる働き方の未来図<2025>
- 作者: リンダグラットン
- 出版社/メーカー: プレジデント社
- 発売日: 2012/09/28
- メディア: Kindle版
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読み終わって満足したら同著者の続編「LIFE SHIFT」も是非読みたいと思う。
読者の方が増えてくれたので少しでもお役に立ちそうなことを書いてみた。
役に立つかしら?
おーしまい。読書に戻ります。
p.s. 小説とかは加筆の必要がないのでまっさらのまま読んでいます。