【ベトナムバックパック4日目】日本人バックパッカーと遭遇
朝、フーコック島のバンガローで目覚める。
ほんと、ジェイソン・ステイサムが映画の冒頭で過ごしてそうな場所だ。(大抵その後そこは戦場になる)
テラスに出ると南国の風が感じられる。
でも飛行機を朝の便で取ってしまっているので、もう行かなくては。
行きはvietjetで帰りはVietnam Airlinesと違う会社の国内線を利用してフーコック島・ホーチミンシティを往復したが、サービスも飛行機も全然変わりはなかった。まあ当たり前か。JALもANAも僕にとっては変わりないしこだわりがないものな。
それからサイゴンに戻って、ドミトリーに荷下ろししてから
近所のフォーの店でフォーを食べた。
そう思ったらその店はgoogle mapでも取り上げられていて、
結構有名な店だったみたいだ。10歳くらいの子供が楽しそうに働いていて
外国人である僕を珍しそうに見ている。
そうしてフォーをむしゃむしゃ食べていると向こうの方からアジア人が
若干キョロキョロしながら歩いている。
あーやっぱり観光客って速攻バレるんだよなぁ。
こうやって他人を見るとほんとわかっちゃうんだよな。こっちの人間は建物を見上げたり絶対しないもんな。なんて観光客を眺めていると、どうも日本人っぽい。
?
どこがどうってわけじゃないんだけど、韓国人でも中国人でもない。
箸を持ったまま「日本人の方ですかー?」と声をかけて見ると
彼は「おおー!」と声をあげて笑顔になった。話を聞けば彼もサラリーマンで休暇を使ってバックパックをしているらしい。歳は僕の7つ上だったが外国で日本人同士出会えたのが嬉しく、お互い崩れた感じでフレンドリーに色々なことを話した。
それから彼も腰をおろしてフォーを食べた。
ベトナム歴は僕の方が2日ほど先輩だったが、アジアのバックパックでは彼の方がずっと先輩だった。何せ、そもそも彼はKuala Lumpurから国境を超えてこちらまできているのだ。国境を超えるバックパッカーにはまだまだ頭が上がらない。
それから二人でたくさんおしゃべりしながらサイゴンの街をまわる。ベンタインマーケットを一緒に回った。僕なんてたかだか4日間日本語を使わなかっただけなのに、日本語を使えるのが久しぶりに思えて、話すだけでそれが嬉しいという具合だった。
面白かったのは彼が東南アジアを旅行する理由だったが、彼は果物が大好きで、東南アジアの果物を楽しむために旅行しているようなものだと行って笑った。
確かに、彼は果物に関してむちゃくちゃ詳しかった。以降彼を"果実王"と呼ぶことにする。どのくらい果物が好きなのかというと、マンゴーを食べすぎたせいでマンゴーアレルギーになったくらいだと。マンゴーが皮膚に触れるだけで湿疹が出てしまうのだそうだ。「えっ、てことは今果実王さんにマンゴーを投げつけたらそこから発生するってことですか?」「うんwそうだねw」
果実王がベンタインマーケットの果物を片っ端から指差して名前をあげていくのだけれど、知らない果物の名前がどんどん出てきて驚く。ベトナムにはこんなに、日本に並びすらしない果物があるのか。
僕は東南アジア特有の果物なんてドラゴンフルーツ、ライチ、パパイヤ、ドリアンくらいしか知らなかった。
もうランブータンなんて見ただけでちょっと引いたもんな。
見た目が邪悪すぎて。
東南アジアに来たのにフルーツを堪能しないなんて本当に勿体無いよ!と果実王が力説するので、その辺の八百屋でマンゴスチンを買ってその場で剥いて食べる。
手が真っ赤になってベタベタになるのも気にせず、中の白い果肉を全部頬張って食べる。う、うまい!
特有の果実なので形容し難いが、ベリー的な味でありながら非常にさっぱりしていて、ジュースのような爽やかさがある。
果実王が「シャツについたらそれ絶対落ちないよ」と言って笑いながらウェットティッシュを出してくれた。今から思えば彼はウェットティッシュを常にポケットに忍ばせて歩いているのであった。どんだけ果物好きなんだ...。
それから果実王が「ドリアン食べたいな」と言い出した。
聞けば無類のドリアン好きらしい。本当に匂いが独特で、ドリアンの持ち込みを断るホテルや飛行機も多いらしい。日本で流通してないのは売っても誰も買わないから.....。
好き嫌いが大きく別れるフルーツだが、日本では圧倒的に嫌いな人が多く、好きな人は非常に珍しいのだそうだ。
もう見た目がキモいもんな.....。
市場で「これがドリアンだよ」と言われて覗き込むと
トゲトゲしたでかい果実が。あーこれバイクで大量に運んでるの何度も見たわ。
それにしても臭いな..。臭い....。
なんていうんだろう、生ゴミみたいな匂いがする。
僕が街角で「あーこの辺臭いなー生ゴミだろうなー」と思ってたところには必ず八百屋があった。こいつだったのか...まじ臭え...。
市場で適当にパックされたドリアンを購入する。
120000ドン(600円)なり。明らかに観光客の足元を見たぼったくりだったが、果実王が「多分全部俺が食べることになるから」と言って100000ドン出してくれた。
恐る恐るかじるようにして端を食べる。あゝこれは...クリームチーズのような...。厳しいなぁこれ....。アボガドと同じで醤油とかつけちゃうレベルのものなんじゃないかな...。結局2口食べて果実王によこす。
果実王はそれをうまそうににむしゃむしゃ食べて種をぷっとゴミ箱に捨てた。
恐ろしい手際だった。果実王のぶんのドリアン
それからマーケットを回って、別れた。
「それじゃあ、また、どこかで!」
思えば、お互い名前も名乗らなかった。
でも、名前を名乗っても意味はないのだ。
Facebookで繋がっても、そういうことじゃないのだ。まだうまく言えないのだけれど、旅で出会ったものを無理やり繋いで置くことに価値なんてなくて、むしろ僕たちがサイゴンで出会うことができたことを僕はあえてサイゴンに置いておきたいと思ったのだ。