弱ペダの真波みたいに負荷から生を実感する
会社員として働いている。
デザイン職なので、お客さんに会うために外出することがない。多分仕事で表に出るのは2ヶ月に1度くらいだと思う。っていう話をすると営業職の友人は「いいなぁ」と腹の底から声を出して羨むのだけれど、僕はたくさん外に出てる方がずっと羨ましい。
だいたい座りっぱなしって不健康だろ。
見るからに血行に良くない感じがする。
朝から晩までパソコンのモニターばかり見ているので急激に目が悪くなるし。
いやあ、営業職だと雨の日も雪の日も、猛暑だろうが寒波だろうが予定があれば外に出なくちゃいけないんだぞ、と言われる。
座りっぱなしなんて気楽じゃん、と。
確かにそれは大変そうだと思うし、
絶対会社にこもりっぱなしの方が楽だと思う。でも楽って良いこと何だろうか?
これが一番謎だ。
毎日楽してたら死んでるのと同じ
楽っていうのは僕にとって死だ。
一番楽なのは寝ること。僕だって寝るのは好きだ。1日7時間は寝たい。
この世で一番楽なのは永遠に寝てることだと思う。ずーっと横になっていて、点滴か何かでずっと栄養を送られていて、あとは最近流行りの振動で筋肉を刺激するアイテムでブルブルやっていれば一番楽に生きていられるじゃんって思う。あるいは言い換えるなら、「一番経済的なのは今すぐ死ぬこと」なんじゃないかな。
今すぐ死ねばもう一生お金を払わずに済む画期的な解決法だと思う。
そういうわけで、楽から離れるほど僕は生きている感じがする。
弱ペダの真波くんみたいな発想だけど。
弱ペダの真波くんっていうのは「弱虫ペダル」っていう自転車競技スポ根漫画に出てくる登場人物で、主人公のライバル。
自転車ですごく速い。特に坂を登るのが速い。どのくらい速いかというとピンチになると背中から羽が生えて風を捕まえて加速するくらい速い。
全然関係ないけど作者のタイヤの描き方が危なっかしくて心臓に悪い。
真波くんは子供の頃病弱でずっとベッドの上で横になって少年時代を過ごしたんだけど、それを乗り越えてロードレーサーになるわけだ。自転車で坂を登る。汗が額から吹き出す。心臓がバクバクしてきて、息がしんどい。
そんな誰でも顔を歪めるような状況で彼は胸を叩きこう言うのだ。
「オレ生きてる!」
そうそう、すげえ分かる。
僕がランニングするのも自転車に登るのも生を実感するためなんだと思う。
そしてそれは肉体的な負担だけでなくて、人生のあらゆる場面において同じことが言える。だいたい、本当に楽しいことってそんなに楽じゃない。
ジュークの言葉を借りるなら「楽じゃないけど楽しい道を」だ。
おしまい