鈴木ユートピア

31歳、写真、キャンプ、バイク、旅

筆箱を買い替えたはなし

 

東急ハンズで新しい筆箱を買った。

新しい筆箱を買ったのは古い筆箱が壊れたからだ。他の人がどうかはわからないけれど、筆箱なんてものは壊れない限りなかなか買い替える気にはならない。だから、多くの人にとって筆箱を買うというのは少し珍しいイベントなのではないかと想像する。傘を買うのとか、ゴミ箱を買うのに似ている。

 

古い筆箱は結構気に入って重宝していたので壊れた時はちょっとショックだった。気に入っていたのであれば同じものを買えばいいのにと思われるかも知れないが、1年くらい使っていて壊れたので、強度に対する信頼性が落ちてしまい、同じ買い物をする気になれなくなってしまった。(後述するけれど結果的に筆箱が悪いのではなく、僕の使い方が悪いだけだった)

 

その古い筆箱は、透明なビニールにファスナーが付いている簡単なつくりのもので1年ほど使っていたらビニール部分が割れて中のペンが溢れ出るようになってしまった。応急処置として養生テープで補修してあるけれど、これはこれでみっともない。

僕は小学生ではないので筆箱を友達に見せびらかす機会はないのだけれど、とはいえ養生テープで補修された筆箱をみるたびに侘しい気持ちになるので、早いうちに買い替えないといけないと思っていたところだったのだ。

 

↑今回引退することになった古い筆箱。中のペンが一目瞭然なので非常に気に入って使用していた。

 

僕はこの件でビニールの筆箱の脆弱さを呪ったが、考えてみると中に差金(金属製の鋭利な定規)を裸のまま入れている僕が悪いのかも知れない。定規が内側からビニールを突き破ってしまったのかも知れない。だって、いくらビニール製の安物とはいえ筆箱が1年で壊れるなんて不自然な話だ。リコールになってもいいくらいじゃないか。

いずれにせよ、筆箱が壊れてしまっている以上、新しいものに買い替えるほかない。

 

さて、東急ハンズの筆箱コーナーを見てみると色々な種類の筆箱が並んでいて目が回りそうになる。なんだっけ。たしか売り物の選択肢が多すぎると、選択するストレスを消費者に与えるので逆に購買意欲が下がる心理学の実験があった気がする。あれはジャムを使った実験だったと思う。

 

筆箱の中には僕が今使っているビニールの筆箱もあった。「お前は破けたりするから、だめ」と心の中でつぶやく。それ以外の筆箱で目立っていたのは、チャックになっていて、バナナのように半分剥くと自律したペン立てに変身するという触れ込みの筆箱だ。これはよく考えていると感心するのだけれど、しかしいまいち食指が動かない。この筆箱を見ていると、ちょっと手や肘が当たって、中のペンが倒れて飛び出してしまうさまが思い浮かんでしまうのだ。僕は比較的不注意な人間なので、コーヒーカップを倒したり、皿を落として割ったりしたことが少なくない。だから、自然とそういうミスが起こりうる物体をみると無意識に身構えてしまうところがある。つまりは、このペン立てに変身する筆箱は、素晴らしい製品なのだけれど、僕に対しては一種の緊張感を与えるのであった。

 

結局、筆箱はペン立てになる仕様のものではなく、コーデュラのペンポーチを購入した。ペンポーチって生まれて初めて使う言葉だ。なんだか音の感じが間抜けな感じがして口に出したくない日本語だ。ペンポーチ。

前回差金にペンケースを破られたから、今回は丈夫なコーデュラの筆箱を買うあたりがいかにも安直な人間みたいな感じがしてちょっと落ち込みそうになるけれど、コーデュラの筆箱は見た目がなかなかスタイリッシュなのでこれはこれで良いことにする。

 

↑コーデュラのペンポーチは表面が立体裁断みたいになっていて、スタイリッシュで格好いい。立体裁断によって面に膨らみができるので収納力も高い。知らんけど。

 

 

早速筆箱から筆箱へ、筆記具のお引越し作業を始める。

ペンポーチは大仰な名前をしているくせに、格納性が高いかというと決して高いわけではない。道具を小分けにしてきっちり整理する能力に優れているけれど、あれもこれもぎっちり入るわけではない、という印象。前のペンケースみたいにザクザクと筆記具を突っ込んでいくスタイルも好きだけれど、今回のペンポーチのようにゴムバンドでペンを1本ずつ綺麗に収納していく作業も嫌いではないので、良いかな、と思う。

 

結果としてペンケースがペンポーチになり、堅牢性が上がり、入れられるペンの本数が減り、中身は整理されるようになった。前から筆箱の中でペン同士がガチャガチャとぶつかり、中のペンがいつの間にか傷だらけになっていることが散見されていたので結果的にこれで良かったのかも知れない。あとの使い勝手はしばらく使ってみないことには見えてこないに決まっているので、今後運用してみながら様子を見ようと思う。

 

おしまい