【レビュー】アリスのままで
50歳の言語学者アリス(ジュリアン・ムーア)は、大学での講義中に言葉が思い出せなくなったり、ジョギング中に家に戻るルートがわからなくなるなどの異変に戸惑う。やがて若年性アルツハイマー病と診断された彼女は、家族からサポートを受けるも徐々に記憶が薄れていく。ある日、アリスはパソコンに保存されていたビデオメッセージを発見し……。
若年性アルツハイマーと戦う女性のおはなし。
何もかもうまくいって感動して泣いちゃうくらいハッピー!とはならないところが実話をもとにしてるだけあるなと思った。正直泣くの期待して行ったんだけど、ちっともなかなかった。でも良いんだ。すごく良かった。変に脚色されてないだけに響いた。
最近の邦画で妻夫木が出てる「僕たちの家族」ってあったと思うんだけど、あれと骨格は似てるかもしれない。お母さんが(お父さんにとっては妻が)記憶を失っていく中で家族に何ができるだろう、的な。
「僕たちの家族」は当事者以外の家族に焦点があてられていて、「アリスのままで」は本人に焦点があてられてる感じだったかな。
僕の話。
祖母が認知症だと診断されてけっこうショックだったけど、それ以上に祖母が祖母でなくなっちゃうんじゃないかって所が怖かったな。
その人をその人たらしめるのって記憶なのかもしれないなと思ったし。
北斗の拳のケンシロウも記憶喪失したら随分やわなお兄さんになっちゃったしね。
単語が抜け落ちて人の名前を間違えるようになって、最後は「あなただれ?」になってしまう。自分がそうなって行ってしまう過程にいるとわかったら自分ならどうするだろう。ちゃんと自分が自分であるうちに死のうとしたりするのだろうか。そんなことを考えさせられた。
おいおいレビューって結構難しいな。
どうしても読書感想文みたいにお行儀よくまとめたくなってしまう。
もうちょっとだけ書く。
記憶っていうのに凄い考えさせられたの。
主人公のアリスは言語学者の権威で、教科書をつくって世界中に出版したりするくらい知性の高い人なんだけどね、だんだんそういう知識も抜け落ちていくんだよね。そしてその進行はとまらなくて。そうやって一生懸命蓄えてきた知識が病気によって全部失われたとして、その知識って意味はあったんだろうかと思って怖くなった。
道徳的には「ある!」なんだろうが、映画を観た僕にはそれを素直に言うことが出来ない。
伴侶と出会って、相手のことを忘れてしまったら、出会った意味はあったのか
約束をして、どっちかがそれを忘れてしまったらその約束は死んでしまうのか
とか....やみくもだけど考えてしまったな。